泣いたのは確かに、苦しくて苦しくてしょうがなかったから。

どうにもならないって分かっているのに感情を抑えきれなくて、どんどん醜い女になっていく自分が惨めで情けなくて。

でも、昨日全く眠れなかったのは……。



「……俺にすればって、どういう意味だと思う?」

「は……?」


ぽつり呟いた言葉に、瞳は首を傾げた。


「だから、俺にすればってどういう意味だと思うか聞いてんの」

同じことを二度も言わせないでよと、少しイラッとしながら言うと、

「それ……もしかしてあの彼氏くんに言われたわけ?」

心配してくれていた表情から一変。
瞳は楽しそうな笑顔さえ浮かべて、聞いてきた。


「他に誰がいるっていうの」

「へぇー……」

「ちょっと、ニヤニヤするのやめてよ」

ムッとして咎めてみるけど、「別にいいじゃん」と瞳の表情は変わらない。そして、


「どういう意味って、そのままの意味でしょ。石丸っていう人をやめて、自分にしろって意味」


それは、つまり……。


「花音のことが好きってことでしょ」