「……はぁ」
放課後にダブルデート……と呼べるのかは分からないけど、それっぽいことをした翌日。
あたしは人の姿がまだまばらな教室で、ため息をついて机の上に突っ伏した。
「わ、もう来てんじゃん。おはよ!」
パシッと背中を軽く叩いて、声をかけてきたのは瞳。
「昨日から既読無視すんのやめてくれる?……って、なに!? どうしたの?」
瞳はいつものように前の席に座って、あたしの顔を見てギョッとした。
……うん、それもそのはず。
昨日、泣きじゃくったのと眠れなかったのとで、あたしの顔はボロボロだった。
きっと昨日教室を出て行ったときとは、似ても似つかぬ別人のようになっている。
「ひっどい顔してるでしょ」
半ばヤケになってフッと笑ってみせると、
「いや……なに、昨日上手くいかなかったの?」
瞳は顔を引きつらせて聞いてきた。
「うん、大西さん泣かせて……今度こそ本当に嫌われたと思う」
「それで、その顔?」
いっそ笑ってくれればいいのに。
「そんな明らさまに心配する顔されたら、逆に傷つくんだけど」
言ってみるけど、目の前の瞳は深刻な表情のままで。あたしは諦めるようにため息をついた。