もしかして……って、一度も考えたことがなかったわけじゃない。
中学の頃から、チャラいと言えばチャラい雰囲気で女子全般に優しかったけど、あたしには特によく話しかけてくれていた。
それに、不意に声をかけたときに、心なしか赤くなっていたように感じたこともあったし。
だから、『もしかしてあたしのことを……?』なんて思ったことも、正直一度や二度あった。
でも、勘違いだったって確信したのは、あのとき。
あたしが初めて告白してフラれた、あのとき。
泣きじゃくるあたしのそばに、圭太くんはいてくれただけだった。
慰めるでも、心の隙間に入り込もうとするわけでもなく、ただそばにいてくれただけ。
その様子にやっぱり勘違いだったかと思った。
もし想像通りだったら、何かリアクションしてきたはずだもん。
それなのに――。