ハチミツみたいな恋じゃなくても。


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石丸くん。
石丸朝日(いしまる あさひ)。

あたしが……初めて好きになった人。



彼のことを知ったのは、中学1年生のとき。

友達の女の子に誘われるようにして、入部したサッカー部。

あたしはマネージャーで、彼は新入部員のひとりだった。


同じ学年だったから、顔を合わせば少し話すことはあって。

でも、初めは特に何とも思っていなかった。
周りの他の男子達と、何ら変わらなかった。


それが少し変わったのは、中学2年生のときのこと。


1年前までは、女子とさほど変わらなかった身長が、いつの間にかグンと伸びて。

身体つきも、顔つきも、何だか大人っぽくなった石丸くんは、自然と女子からモテるようになった。


そしてそれは、あたしも。

14歳、15歳の頃って、恋とかそういうのに目覚める時期なのかもしれない。

よく分からないけど気付いたら、男子に『かわいい』って言われることが増えて、告白とかされるようになっていた。