「あたしがっ、そばにいてほしいのは」
もう一度、感情に任せて声を上げようとした、そのときだった。
「知ってる。だから、俺にすれば」
ぎゅうっと、思わず息が止まるほどに、強く強く抱きしめられた。
「っ……」
苦しいって声にも出せないのは、圭太くんの様子がいつもと違うから。
顔は見えない。だけど、いつものふざけているような雰囲気じゃない。
俺にすれば……って、なに？
まさかまさかと思う気持ちが、ドキドキと鼓動を速くする。
……そんなはずない。
きっとまたからかってるんだ。
もうやめてよって思うのに、その言葉を口に出すことが出来なかった。
だって……。
「……俺にしろよ」
あたしを抱きしめる強い力とは真逆。
細く震えるような声で、圭太くんが言うから。
やめてよ……やめて。
圭太くんのくせに。
どうしてそんな切ない声で、そんなこと言うの――。
