ぎゅうっとあたしの体を、温かい感触が包み込んだ。
え……なんで?
あたし、圭太くんに抱きしめられてる……?
「ちょ、ちょっと……」
突然のことに状況が把握出来なくて、あたしは戸惑いながら体を離そうとした。
だけど、
「っ……!」
一層強くなる圭太くんの力。
「なに、何で」
溺れそうになる腕の中、必死で声を上げる。すると、「聞きたいのはこっちだよ」という圭太くんの小さな声が聞こえて。
「何でそんなになるまで朝日なんだよ」
耳元で呟かれた言葉に、あたしは目を見開いた。
何で……って言われても、自分でもどうしてか分からない。
男の人はいっぱいいる。
石丸くんには2度もきっぱり振られている。
それでも……彼じゃないとダメで。
今もどうしても……好きで。
「そんなの、分かんないよ」
聞かないでよ、そんなこと。