ハチミツみたいな恋じゃなくても。


自分が何をしてしまったのか、気付かされたのは石丸くんの声を聞いてからだった。


「……ひかりっ!?」


彼が呼んだのは、あたしの名前じゃなくて。

泣きながら飛び出して行った大西さんを、すぐに追いかけて行った。


あたしのことなんて全然見ずに、ただ真っ直ぐ大西さんを追いかけて……。



「……何してんの」

木陰にポツンを座ったまま、残されたあたしに声をかけてくれたのは圭太くんだった。


「何って……なにも」

「嘘つき」

全てお見通しとばかりに即答。


……分かってるなら聞かないでよ。


「別に……思ってたことを素直に言っただけだし」

プイッと顔を背けて呟いた。
すると「へぇ……」と、表情の見えない相槌だけが降ってきて。


どうせあたしが悪いって責めたいんでしょ。
圭太くんの考えなんて、だいたい分かる。


「言いたいなら言えばいいじゃん。性格悪いって」

もう今さら傷ついたりしない。
だって、自分でもそう思っているから。


「ほら早く……」

なかなか返って来ない返事に、しびれを切らしてこっちから催促しようとした……そのとき。