ハチミツみたいな恋じゃなくても。


「どうせ顔でしょ?」

石丸くんはカッコいい。
中学の頃からそうだけど、高校生になってもっと目を引くようになった。

大西さんもきっと、そんな彼のルックスに惹かれた一人のミーハー女子に違いない。

そんな人……、


「似合ってない。石丸くんに全然似合ってない」


奥歯を噛み締めて、真っ直ぐ大西さんを睨みつけていた。


「っ……」

傷ついたように下唇を噛んで、俯く大西さん。

「そう、ですね……」

ほら、やっぱり……。
顔だけなんじゃないと思った、次の瞬間。


「あたしは確かに不釣り合いだけど、どうせ顔とかそんなの、何も知らないあなたに言われたくないっ!」


バッと突然顔を上げて、睨まれ怒鳴りつけられた。


「……」

驚いてポカンとするあたし。

大西さんは自分の荷物を持って立ち上がると、そのまま逃げるように走り出した。


俯いた顔。その瞬間、ポタッと一粒の水滴があたしの目の前に落ちる。