ハチミツみたいな恋じゃなくても。


一応サッカー部全員が使っていたから、一つ二つ下の後輩達は知っている。

でも、あれから3年。
自然と使われなくなったり、どこかにいってしまっている可能性も充分ある。

たまたまなのかどうなのか、今日ここにはあたし達以外の人の姿はないし……。


あまり期待はしないまま、あたしはボールを置いていたその場所を見た。

すると、


「あ、あった!」


大きな木の幹のすぐ後ろ、人工的に掘られたような地面のくぼみにすっぽりとはまるように、ひとつのサッカーボールが置いてあった。


「空気もちゃんと入ってる……」

久しぶりの感触は当時のまま。
時々学校に持ち帰って、空気を入れたり手入れをしていた頃と変わらない。

「今も使ってくれてんのかな」

「うん」

あたしの後を追ってきた圭太くんの言葉に頷いた。

そしてそのサッカーボールを、同じく追ってきた石丸くんにパスする。


「じゃあ、久しぶりにいっちょやるか」

「久しぶりって、今もほぼ毎日練習してんじゃん」

ドリブルを始める石丸くんに苦笑する圭太くんだけど、すぐにボールを奪わんとばかりに動き出した。

そのまま公園の中心まで走っていくふたり。


あたしと……残されたのは大西さんで。


「あーあ、あれはしばらく戻って来ないなぁ。ジュースでも買いに行こっか」


あたしは少し緊張した表情を浮かべる大西さんに、にこりと微笑んだ。