ハチミツみたいな恋じゃなくても。


時刻はまだ5時を過ぎたばかり。


「もう帰る?」

「え……」

何気なく言ったであろう石丸くんの発言に、あたしの心は曇る。

だって、このまま解散したらきっと、石丸くんは大西さんと一緒に帰るなり、出かけるなりしてしまうだろう。


そこが指定席とばかりに、石丸くんの隣に立つ大西さん。

何も考えずに一緒にいられる彼女を見ていたら悔しくて、そうさせるのは嫌だと思った。


だから……。


「……あ、あそこは?久しぶりにあそこ行ってみない!?」

咄嗟に、思考をフル回転させて、思いついたひとつの場所。

「あそこ?」

「ほら、中学生のときによく行ってたじゃん!」

首を傾げる圭太くんに、あたしは少し興奮気味に言った。


そうだ、あの場所があった。
我ながら何て良いアイディアなんだろう。


「もしかして……あそこ?」

圭太くんより先に気付いてくれたのは石丸くん。あたしはこくんと大きく頷いて、


「ここから少し離れてるんだけど、時間大丈夫かな?」


大西さんに笑顔で問いかけた。