ハチミツみたいな恋じゃなくても。


「そう、なんだ……」

そういえば、作ったからとか何とか言いながら、石丸くんに包みを渡していたことがあったっけ。

きっとあれがその“お菓子”だったんだ。


ぼんやりと思い出した出来事に、納得しながら「すごいね」と、とりあえずのお世辞を返す。

すると、「いやいやいや」なんて言いながら、ぶんぶんと大西さんは首を横に振る。


正直、調理部だなんて意外だった。

そんなに彼女のことを知ってはいないけど、控えめに言えば不器用そう……ハッキリ言えばガサツそうで、とても料理やお菓子作りが得意そうな雰囲気じゃなかったから。


意外と女の子らしい、そのギャップに石丸くんは惹かれたの……?


聞きたいようで、聞きたくなくて。

あたしは大西さんが調理部という話にそれ以上は触れず、一口ぶんなくなったザッハトルテにフォークを傾けた。