ハチミツみたいな恋じゃなくても。


――こ、この人っ!

確信犯だ。分かっててわざとやってるんだって、その表情を見れば一目瞭然だった。

だけど、

「っ……」

文句のひとつでも言ってやりたい気持ちを、ぐっと堪える。

悔しい……けど、石丸くんがいる手前、醜い自分をさらけ出すことなんか出来ない。


それでも、やっぱり腹の虫が収まらなくて、せめて机の下、すぐ隣にある足を踏んづけてやろうかと思ったときだった。


「でもさ、この前大西さんが作ってくれたケーキも、なかなか美味しかったよね」


にっこりと笑顔を浮かべ、圭太くんが言った言葉に、あたしの足は宙で止まる。


ケーキ……?

「大西さん、料理とか得意なの?」

単純に疑問に思った。

それを素直に質問にすると、少し慌てた様子で「いや」と、否定して。


「得意ではないんだけど、調理部で……」

「いつも朝日に手作りのお菓子、持って行ってるんだよね」

「まぁ……」

圭太くんの言葉に苦笑いを浮かべつつ、頷く大西さん。