ハチミツみたいな恋じゃなくても。



そうこうしていると、さっきの店員さんが追加分のお冷を持ってきてくれて。

自然と促されるように、3人は席に着いた。


あたしの隣に圭太くんで、目の前には大西さん。石丸くんは大西さんの隣で、あたしの斜め前。

当然ともいえる席順だけど、一番遠い距離にほんの少しがっかりした。


「みんな何にする?あたしはこのケーキセットにしようと思うんだけど」

メニュー表の、さっき見ていたページを開いて指差す。

すると、みんなこのセットがいいという話になって、それぞれケーキを選んで注文した。



あたしの前にはオレンジピールがちょこんと乗ったザッハトルテ。それから紅茶の湯気がゆらゆら揺れるティーカップ。

目の前の大西さんはイチゴのショートケーキを注文していて、一口運ぶなり「おいしい!」と声を上げた。


「あ、本当だ。んまい」

続けて声を上げたのは石丸くん。

石丸くんが選んだのは、色とりどりの果物がこれでもかっていうくらい乗ったフルーツタルト。

イメージと少し離れた可愛らしいケーキの選択に、ほんのちょっと違和感を覚えた。

だけど、それを選んだ理由はすぐに明らかになった。