ハチミツみたいな恋じゃなくても。



3人との待ち合わせは現地。
数ヶ月前に駅裏に出来た、こじんまりとしたケーキ屋さん。

古びた商店街の隅にあって、あらかじめ知っていなければ立ち寄ることもないであろう、隠れ家的なお店。


ケーキとかカフェとか、それほど詳しくないあたしだけど、ここは瞳に誘われて一度来たことがあって。

また食べに来たいと思うくらい、とても美味しいケーキ屋さんだった。



あたしの方が先に着いたみたいで、店先には3人の姿はまだない。


もしかして迷ったかな……と、少し心配してみるけど、スマホには何の連絡も届いていない。

圭太くんに地図付きのお店のホームページを送っておいたし、大丈夫かな。


とりあえず、席を取っておこうと先に店内へ入っておくことにした。


白い木目調のドアを押して中に入ると、カランカランとドアベルの音。

「いらっしゃいませ」という声と同時に目に入ったのは、ケーキが並んだショーケース。


「えっと、後からもう3人来る予定で、カフェの利用をさせていただきたいんですけど」

あたしが言うと、20代半ばといった感じの綺麗な店員さんが「かしこまりました」と、返事してくれて。

「お冷をお持ちしますので、空いてるお席にどうぞ」

にっこりと笑顔でそう言ってくれた。