石丸くんに近付きたいのなら、自分と付き合えと提案してみたり。
じゃあ協力してくれるのかと思いきや、今みたいに絶対無理だと嘲笑うようなことを言ってきて。
どうしたいのか全然、全く、これっぽっちも分からない。
「無駄だと思うなら別に付き合ってくれなくったっていいよ!その代わりにもうあたしに構わないで!」
苛立つ気持ちのまま、勢いよく言い放って、あたしは圭太くんにプイッと背を向けた。
そしてそのまま、今日を迎えたわけなのだけど……。
「……別に何とも言ってこなかったよ」
一瞬、瞳に説明してあげようかと思ったけど、思い出したらイライラしてきて、やっぱりやめた。
付き合ってくれなくてもいいと言ったけど、それで「はい分かりました」って、引き下がってくれるような相手じゃないことは知ってる。
実際、数日後には『この日の放課後とかどう?』って、普通にLINEが送られて来たし。
何を考えているか分からないからムカつく。
圭太くんが面白がる展開にはしたくないって思う。
……でも。
「まあ、行ってくるよ」
「おう、頑張ってねー!」
あたしは鞄を持って席を立ち、いつもよりずっと早く学校を出た。



