小堺の家へ行くにはまず彼のバイト終わりまで待つしかない。
そのあとはこの前と同じように家まで尾行し、偶然を装って家の前で声をかける。
そしてそのままトイレを貸してほしいとでも言ってあげてもらう戦法だった。
それまでは公園のベンチで二人で座って仲良く話をして時間をつぶすことにした。
お弁当でも作ってくればよかったと羽都音は思った。
回りを見渡せばカップルが仲良さそうにお弁当を広げ楽しげに二人の時間を楽しんでいる。
二人は木陰になっていて少し離れたところに腰をおちつけ、しばらく無言で流れる空気を楽しんだ。
そこは大通りからも離れていてあまり人目につかないところ。
「ごめんねせっかくの休みなのに付き合わせちゃって」
「そんなことないよ、私こそ何も持ってこなくて、気がきかなくてごめん」
「羽都音ちゃんが気を遣う必要なんてないよ、付き合わせてるのは僕だからね」
「でもなんか嬉しいな。こうやって一緒に……」

