冷凍保存愛


 そんな小堺が休みにこんなところで何をやっているのか?

 考えるよりも先に体が動いた。

 小走りに路地に向かう。遅れて羽都音も道子を追う。

 気づかれないようにゆっくりと距離を詰め、ようやく辺りが見えるようになると、回りがどうなっているのかも分かるようになってきた。

 小田原一家が出てきた店の裏手に位置し、ちょうど厨房のドアと繋がっているようだ。

 ゴミ置き場があるその場所はなんとも言えない匂いとじめっとした空気に覆われ、表の華やかな世界とは真逆だ。

 その水たまりはいつからそこにあるのか分からないくらいに水は黒く濁り、その中に見たこともないような小さな虫が数匹泳いでいる。

 それらを踏まないように避けて通り、小堺の背中がすぐそばに見える距離まで行ったとき、思わず声を出してしまった。