不審な動きをしていた。
建物の陰になっていて薄暗くなっているため、何をどうしているのかまでは分からないが何かを蹴っているようなそんな雰囲気だった。
「もしかして、あれ、小堺じゃないかな」
呟くように言った独り言に反応した羽都音は道子の視線を追い、路地裏を確認し、再度道子の顔を見た。
あいつはクラスの落ちこぼれ。
特進クラスではビリだけどふつうクラスに行けば一番になれる。
だから移ればいいのにって言われてる。でも頑なに動かない。
道子はそんな小堺に興味を持っていた。
もし自分だったらどうするだろうか? 自分だったら迷わずふつうクラスに移るだろう。
嫌な気持ちで過ごすくらいなら少し落としても楽に過ごせる環境に身を置きたい。というのが道子の考えだ。

