冷凍保存愛


「学年新聞に載せよう」

 道子は将来ジャーナリストを目指しているためもあり、新聞部に所属し、日々何か記事になるものはないかと追っていた。

 記事になるネタが目の前に現れたのをそう簡単に逃すわけがなかった。

「記事にはするなよー」

 唇を尖らせる道子の頭に手を乗せ、困ったような笑みを浮かべ白い歯を見せた。

 帰り際に、ちゃんと宿題しろよーと言い残した小田原家族の幸せそうな後ろ姿を見送った羽都音と道子は、あんな家族が欲しいねと将来持つであろう自分の家庭と重ね合わせながらしばらくその場に立ったまま動かなかった。

 その時、店の路地から音が聞こえ、何気なしにそっちの方を向くと、そこには道子には見慣れた顔があった。