「山際はこれをやった犯人がお前だと簡単に見つけ出すぞ。そうだろう? これにはおまえの名前しか書いてない。それに、おまえの言い分だとこのクラスにおまえを庇ってくれるやつもいない」
「それは……」
「……まあ、俺はそれを守ってやることができるけどな」
小田原の言葉に小堺は顔を一気に上げ、涙と鼻水でぼろぼろの顔を小田原に向けた。
「俺はお前を守ってやれる」
「ど、どういうことですか先生、それじゃあ僕は」
「山際から守る、このことを学校に報告しないでやることもできる」
「お願いします!」再度深く頭を下げた。
「その代り」
「……その代り……」
「今日からおまえは俺のアシスタントになる」
「アシスタントですか? でも、なんのアシスタントですか。僕にできることだったらなんでもします」
「よし。いいか、おまえは今日から俺の研究のアシスタントをしてもらう。お前が口に出せることばはただ一つ」
「ひとつ」
「『はい』それだけだ」
「意見は受け入れないってことでしょうか」
「その通り。いいな」
「でもせん、」
「いいな」
「……はい」
「よし。じゃあ、ついて来い」