冷凍保存愛


 真っ暗な空間に細く光が入り、眩しさに目を細めた。

 かつかつと靴の音がゆっくりと近づき、二人は更に壁に背中を押し付けた。

 まだ目が慣れず、誰なんだかわからない。

 突如、部屋の灯りがつき、真っ白い空間に目が痛くなり、手で目をおさえた。



「誰?」



 先に声を出したのは道子。

 強羅はまだ目が慣れずにいた。

 目の奥がズンと痛むのは蛍光灯のせいだろうか。

 数回、瞬きをして目を慣れさせ、ドアの前に立っている人物を確認した。

 ドアに手をかけ、うっすらと笑っている。

 男だ。

 見覚えのある顔は、やはり小田原だった。

 道子をここに監禁していたのも小田原に違いない。

 てことは、奥さんもグルになってたということか。

「よかった」

 抑揚のない声に全身に鳥肌がたち、恐怖に身震いした。

「まだ何もしていないよね」

 何もしていないっていったい何を言っているのか分からない。二人は顔を見合わせて目で合図を送りあった。



「無事だね?」