「ちょっと待っててね。今呼んできますから」
応接間に通され、古いソファーに座るように促され、強羅はそこに座る。
「僕はちょっと」
コーヅは小田原の奥さんの後についていった。
「おい」
「なに?」
「気づかれんなよ」
「そんな心配、ないでしょ?」
「羽都音がいたらどうすんだよ」
「それはそれで都合がいいんじゃないかな」
「まあ、あれだ、なんかあったら呼べよ」
「…………当たり前でしょ」
強羅がもんくを言うより早く、コーヅはするりと部屋を抜けた。
小田原の奥さんは廊下の突き当たりにあるドアを開けて、
階段を降りた。

