「ほんと、道子にお願いしてよかった」
「何言ってんの。これは私のためでもあるんだから」
将来のためのストックになるような事件には率先して関わるよ。と、ハングリー精神も半端なものじゃなかった。
とにかく、私は小田原先生に手伝ってもらって失踪事件について詳しく調べるから、あんたたちはどういう経緯で、誰が机を入れたのかを調べてと言い、サングラスをかけてビーチベッドに横になった。
「寝る」
「はい」
言い切ったんだろう、暑さの中まくしたてるように話し切った道子は疲れて少し寝ると言い、コロンと横になった。
羽都音は文庫本を取り出してしおりを抜き取り、水を一口飲んで本の中に入り込んだ。

