「そんなことより、行くよ!」 久美は僕の手を引っ張り、駆け出した。 久美の向かった先は、第2学習室。 あまり使われていない教室だ。 そこに一人の少女が窓の外を眺めていた。 「千紗、佐久間君を連れてきたよ」 彼女が千紗らしい。 ボブカットでメガネを掛けていて怪談話が苦手そうなか弱い感じの女の子だった。 「あの子、本当に怪談とか平気なのか?」 「うん。千紗は怪談に詳しいし」 意外だ。 人は見かけによらずってやつか。