「いいよ。私は久美。久美って呼んでくれたら許してあげる」 久美が僕の前に手を差し出す。 ……握手をするつもりなんだろうか。 差し出された手を握る。 えっ……? 驚くほど冷たい手だった。 「……久美。なんでこんなに手が冷たいんだ?」 「私、冷え症だからかな?」 ……冷え症でもあんなに冷たくなるものだろうか? 確かにもう春だというのに、まだ寒々としてるけど。