「あ、そうだ。佐久間君、私の名前知らないんだよね。さっき、君って呼んでたし」 そう言われて申し訳なくなった。 彼女は僕のことを知ってくれているというのに。 「……まあ、無理もないんだけどね」 下に俯いてぼそっと彼女が呟く。 影が薄いなんて思わせてしまったみたいだ。 「本当にごめん!」 僕は彼女に頭を下げて謝罪した。 もう申し訳なささで頭がいっぱいになった。