「一年、早く戻ってこいよー!!」 遠くで男の声が聞こえた。 直哉を呼んでいるみたいだ。 「あ、やべ!先輩に呼ばれてるから、またな!」 「ああ……」 直哉は駆け出し、この場を去った。 呆然と僕は立ち尽くしていた。 どういうことなんだ? 直哉にはお面どころか、恵子の姿が見えていなかったのか? 「佐久間君」 名前を呼ばれ、振り向く。 「……っ!」 驚いて言葉が出なかった。