転がっていた野球ボールを拾い、直哉に渡す。 「ありがとな。先輩がホームラン打ってさ、こんなところまで飛んでちゃったんだよ。すげーよな」 「どういたしまして。そうだな」 「それよりさ、お前、こんなところで一人で何してるんだよ?」 「……え?」 直哉は何を言っているんだ? 僕の後ろには恵子がいるはずなのに。