配布されたプリントを机に並べ、遥は説明する担任から外へ視線を動かした。


4階の教室の広い窓からは、グラウンドやテニスコート、ハンドボールコート、弓道場、プールがよく見える。


誰もいない運動場はがらんとしていて、どことなく寂しさを感じた。


そのグラウンドの南西が、野球部がいつも使っているエリア。


マウンドも日に焼けた投手板もある。


あそこでたくさん、練習を積んできた。


人のいないグラウンドに、部員の姿が浮かぶ。


この光景は、確か去年、委員会の集まりで練習に遅刻した時だったっけ。


遥は話半分で窓の外ばかり見ていて、一緒の委員会の女子に怒られた。


紅白戦をしているみんなが活き活きとしていて、すごく楽しげで、早く加わりたいと思った。


野球部だけじゃない、グラウンドにはサッカー部も陸上部もいた。


走る音、飛ぶ音、部員同士の掛け声、コーチや監督の怒声、ボールを蹴る音、打つ音、投げる音。


ガラス越しにもその音は届いて、なんだかすぐ目の前のフィールドが別世界のように輝いて見えた。



あの時と同じ教室で、今おれは勉強しているんだ。


同じ窓から、グラウンドを見ているんだな。



なんて考えていたら、また呆けていたようだ。



「清水どうしたー、まだ眠いのかー?」



目ざとく担任に気づかれて、遥にさっきよりも大きい笑い声がぶつかった。