おそらく、間違っていない。


小倉たちが不満に思う気持ちも分かるが、監督の考えも分かる。


きっと、選手よりも多くのことを考えての判断だ。


駿の穴を、秋山でどうにか埋められるか試したいのだ。


あの試合のように、バッテリーで崩れてしまわないように。


万が一、駿が戻らなかったとき、代わりとなる選手がいるように。



そこまで見越して、監督は秋山もキャッチャーの候補に入れた。


そうに決まっている。


遠藤が拳を握りこみ、再び秋山に向いた。



「……でも、やっぱり納得できねえよ。


清水のキャッチャーは川口しか」


「川口、川口って。なんだよさっきから。


そうやって一人のキャッチャー相手にしか投げられませんの方が困るだろ。


なあ、清水」



同意を求められたが、遥は答えられなかった。


秋山の言うことは正しい、その通りだ。


特定のキャッチャーでないと投げられないなんて、ピッチャーとして十分に機能できない。


でも、それを認めてしまったらどうなる。



お前抜きでも、十分戦えるよ。


キャッチャーは、お前以外でもいい。



そう駿に突き付けてしまうことになるじゃないか。


それはいやだ。


言えば秋山は『甘い』と言うだろう。


悔しいが、このお調子者は誰よりもちゃんと見通している。


でも、7年間ずっとバッテリーを組んできた相手だ。


簡単に変えられるはずがない。