予感は的中した。
気づかないフリをしきれなかった。
そうすればごまかせると少しでも本気で思った自分がバカすぎる。
駿はどこにもいなかった。
部室にも、グラウンドにも、ベンチにも。
ブルペンにも。
ユニフォームに着替えた遥はグラブを脇にはさみ、シートノックが一段落ついた監督に謝罪した。
「すみません、遅くなりました」
「ああ、委員会だったか、神崎から聞いている。
学校の仕事だ、仕方ないな」
監督がバットを杖のようについて、後ろに立つ神崎真(かんざき まこと)をちらりと見た。
神崎が一瞬だけ眉尻を下げたが、すぐに表情を引き締めて遥に指示を出す。
「今日は守備練習が中心だ。
一週間のブランクをすぐに取り戻せよ」
「はい」
「……清水。川口は一緒じゃないのか」
ちりっ。
キャプテンの一言で、はっきりと分かった。
駿は部活にすら来ていないのだと。
「……はい」
つとめて、遥は気にしていないという声音で返答した。
そうしないと、しょぼくれた情けない顔になってしまいそうだ。
ふむ、と監督が腕組みをした。
守備練習でグラウンドに散っている部員を見つめる。
「神崎、秋山と溝口を呼んで来い」
「はい」
短く返事をして、神崎が一塁へ走る。
そこには1、2年生が数人固まって、3年生から送球の指導を受けていた。
その集団から秋山と、1年生の溝口達也が出てくる。


