委員会を終え、たまたま近くにいたという理由で教師の手伝いに付き合わされ、遥は一人で教室に戻っていた。


まだ明るい夏の日射しを受けて、リノリウムの廊下が鈍く光る。


踏みしめると、上履きの下でキュッキュッと音を立てた。


開け放された窓から、生温い風がふきこみ、制服の隙間から入ってくる。


グラウンドは、もっと暑いんだろうな。


『熱中症対策!』という赤文字が目立つポスターを見て、遥はワイシャツの胸元をつまんでパタパタと風を送った。


南館4階、2年生の教室が並ぶ廊下は誰もいない。


北館につながっている芸術棟からは、吹奏楽部の楽器の音や合唱部の歌声が反響して耳に届く。


敷地の西側にある道場からは、剣道部や柔道部の気合いが、東側の体育館からはボールが床に激しくぶつかる音が聞こえる。


テニスコートからもハンドボールコートからも、弓道場からもプールからも、グラウンドからも、練習の音が放出している。



放課後の学校は、青春のオーケストラピット。


中学の時、やけにポエミーな表現をする現国の先生から聞いた言葉だ。


その通りだと思う。


インターハイ県予選が終わって、どの部活も、次の試合に向けてがむしゃらに練習をしている。


強くなるために。


一試合でも、多く勝つために。


勝ち進まなければ、最後まで大会にはいられないのだから。