両国がガリガリ頭を掻く。
床屋に行っていないのだろう、髪が伸びている。
「清水、こんなアホは放っといて、早く部活行こうぜ」
「あー悪い、今から委員会なんだ、今日は遅刻」
筆箱を振ってみせ、遥は空いた手でごめんと表した。
両国が露骨に嫌そうな顔になる。
「うえー、まじかよ、部室までこいつと2人とか……」
「なんだよリョウ、そんなにおれと並んで歩くのが嬉しいのか?」
「どう見たって違うだろ」
「お前と歩くのうるさくて疲れるし、身長差がでかくて目立つから嫌だ」
「確かに。下手したら社会人と小学生だもんな」
遥は秋山の頭をポンポン叩く。
腕を振り払って、秋山が噛みついてきた。
「ちっせえって言うな、ちっせえって!」
「あれー?アキが消えたぞ、清水、あいつどこ行った?」
両国がわざと、目線の高い位置で秋山を探すマネをする。
遥も悪ノリして、ひさしのように手を額に当てた。
「ほんとだー。もう部活に行ったのか?速いなー」
「お前らふざけんじゃ、って、やべえ!
キャプテンがもうグラウンドに行ってる!」
秋山が叫ぶや否や、鞄を掴んで走り出す。
「マジかよ!」
窓を確認した両国もグラウンドへ急ぐ。
廊下から、女子生徒の短い悲鳴が聞こえた。
遥は二人を見送って時計を確認し、同じ委員会の女子とともに集合場所へ歩いた。


