秋山が帰る支度をしている両国に顔を向ける。


またやってる、という表情を浮かべ、両国が遥の席に近づいた。


遥の身長は170cm以上あるが、両国はそれよりも頭一つ分高い。


野球部一の長身だ。


そういえば、春の身体測定でもうすぐ190cm代に入ると言っていた気がする。


身体の厚みもすごく、そのせいで遥より一回り大きく見える。


近くに立たれて見下ろされると、同学年なのになかなか迫力があって少し怖い。


慣れてしまえば、どうってことはないのだが。



「言われたのはおれじゃなくてアキじゃねえの」


「そうだよ、どんな耳してんだ、耳鼻科行ってこい」


「そんな真面目につっこむなっつーの。


いやだねえ、スキンシップすら楽しめないかったいピッチャーだなんて」



対する秋山は小柄で、遥の肩くらいまでしか背がない。


表情がコロコロとよく変わるし、監督やキャプテンに注意されることが多いくらいよく喋る。


部内でいちばんのお調子者だ。


ムードメーカーでもあり、試合前のチームの緊張をほぐしてくれる。


1年生も、2年生のなかでは最も彼に親近感を抱いている。


秋山と1年生が関わっている姿は、傍から見ると高校生にじゃれつく小学生(=秋山)のようだ。


もちろん、本人に言ったらうるさいので口には出さないが。