「……あんがと」 「おう」 俺たちは、あの家で誰かを待っていたのだろうか。 いつまで経っても帰ってこない、いや姿を見たこともない誰かを。 世間的にはその人がいるのが当たり前で、俺たちはその人を待っているのが当たり前で。 俺たちを縛っていたのは。 ここを、帰ってくる場所を護らなきゃという想いではないかもしれない。 ……俺たちを縛っていたのは、常識だったかもしれない。