「理波ちゃん――」 俺は理波ちゃんの残したメモ用紙だけを握って家を飛び出した。 苦痛で当たり前だ、あんな家。 他人以前に、嫌い合っているどころかお互いを知らない奴らの中に立たされた理波ちゃんがどんな気持ちになるかくらい、俺にわからないわけがない。 ちくしょう、何で先に帰っていたのが俺じゃない。 何で今日に限って理波ちゃんが―――! ドアホンを何度も鳴らす。 「おい! いるかっ? 頼む! 出てきてくれ!」 しつこく扉を叩いていると、中から大声がした。