階段の曲がり角で、腕を引っ張られた。 転びそうになりながら引き込まれたのは教材室だった。 「いった」 「しっ」 制した声は莉音だった。 「みんなが行くまで静かに」 言われて、こくこくと無駄に多く肯いた。 少し遅れて教室の前を叫びながら駆け抜ける音がした。 「雅風ーっ!」 「ほんとのこと聞かせろー!」 「滝篠の彼女とは如何とも出来ん!」 ………。 怖ー……。