白い闇に囚われてー刹那の風花ー【完】



すると、理波ちゃんの表情が急にやわらいで、頬の赤味が薄れてきた。


……え、何したの?



「刹那」
 


直前の刹那の仕込みだろうと目を向けると、刹那はほっと息をついていた。



「プラシーボ効果の類を使ってみた」



「なるほど」
 


偽薬(ぎやく)効果、だな。
 


不眠の患者に、眠り薬ではなくビタミン剤を処方しても同じ効果があるというあれ。
 


この治療法は肯定、批判、色々議論されているけど、確かに理波ちゃんのは、風邪ではなく一時的なものだから別にここでその対応にとやかく言うことないか。