恋ごころトルク


 動機は不純かもしれない。でも、格好良いんだもん。それは立派な理由でしょう。淡い片想いを抱く男性が格好良くて、尚かつバイクも格好良かった。総合的に格好良かったのよ。バイクに乗る理由でしょう。というか、好きになるのに理由なんか無いのよ!

 木下 真白、26歳にして、バイクの免許を取る決心をしました。さっき、まずはきなこに報告したけどね。


 さて。なんかパソコン画面ずっと見ていたから、目が疲れてしまった。

「こんな時間……」

 もう午前1時を回ってるじゃないの。調べものはこれぐらいにしておこうか。明日、お店で居眠りするわけにはいかないもの。

 ビールはまだ少し残っていた。ぐっと全部飲み込んでしまって、カン!と音を立ててテーブルに置くと、きなこが「ピヨッ」と鳴いた。

「夜だから、静かにね」

 声をかけて、あたしはベッドに潜り込んだ。

 新しいことを始める時って、不安で、新鮮で、ドキドキする。車の免許を取りに行った時は、ちょっと違ってた。就職に有利だろう的な感じ。実際、配達の無いお弁当屋さんで働いているので、普通免許は関係無いし、車は必要無いし……いまはね。

 興奮して眠れなかったらどうしようかな、そう思ったけど、目の奥が重くて、すぐに眠ってしまった。

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