恋ごころトルク

「インカム必要だなーやっぱり」

 スポーツ飲料をがぶ飲みしてから光太郎さんが言った。

「そう? あたし別に不自由感じないんだけど」

「真白がバイク買ったら考える」

 バイクショップに行くと、本当に色んな装備があるもんな。あれもこれもと、ついつい欲しくなっちゃう。

「まずはバイクだよね。ゼファー買おうかなぁ」

「似合わない。まずそのヘルメットおかしい」

「光太郎さんが選んだんじゃんこれぇ……」

 あたしはシートに乗せたヘルメットを指さした。ホワイトのヘルメット。光太郎さんから貰ったヘルメット。思えばこれが初めてのプレゼント。

「だってアメリカン乗りたいって言ってたからそれにしたんだろ」

「まぁそうだけどぉ」

「ゼファーにチェックラインヘルメットはおかしい」

 たしかに。

 でも、運動神経的にゼファーに乗れる気がしない。格好良いけれど、それは光太郎さん効果だ。光太郎さんが乗ってこそ格好良いんだ。分かってる。

 ドラスタ250あたりがきっと足つきも良いし、取り回しも楽だと思う。無理しない方が身の為だ。


「やっぱりドラスタかピラーゴとか、マグナもいいな……250で。400は車検がな~維持費考えるとね」

「マグナって高校生みたいだけど……でも良いものだよ。ホンダのエンジンは壊れにくいし」

「イントルーダーも格好良かったなぁ」

「まぁ、じっくり選んで好きなの買いなさい」

 行くぞ、そう言って光太郎さんはゼファーに跨った。それに続いてあたしも後ろに乗る。

 一応、目的地は海沿いの道の駅。あまり遠出はしないけれど、行き帰り200kmくらいのツーリング。

 視界を流れていく景色。胸一杯に光太郎さんの背中。体温。ずっと、このまま時が止まってしまえば良いのにって、何度も何度も、思った。


 道の駅では、ツーリングチーム、タンデムカップル、ソロなどたくさんのライダーが居た。キョロキョロしながらあのバイク格好いいなぁ、あそこに女性ライダーさんが居るね、あのバイク遠くのナンバーだねとか、隣を歩く光太郎さんに話しかけていた。

 道の駅でお昼ご飯に、あたしがうどん。光太郎さんは蕎麦。ソフトクリームを食べた。あと、お土産なんかを買って、リュックに詰めた。

「そんなに誰が食うの?」

「店長と奥さんと……リエちゃんとメグと、あと」

「あのお、ここ県内なんですけど」

「いいじゃない、せっかく来たんだし」

 いま光太郎さんの言葉で気付いた。ここ県内だった……。

 とても楽しくて、テンション上がりっぱなし。光太郎さんに突っ込まれても、それすら楽しくて。ニヤニヤしすぎて気持ち悪がられているかもしれない。光太郎さんはあたしの顔をじっと見て、苦笑いをしてる。そして突然、その苦笑いを止めて、真顔になる。

「なによ」

「……なんでもねー」

 ぷいっと目を逸らされた。