恋ごころトルク


 朝の身支度をする光太郎さんを横目に、味噌汁をかき混ぜた。朝ご飯は卵焼きとわかめの味噌汁、そして豚肉とレタスのサラダ。

「今日昼休みに病院行ってくる。包帯取れるはずなんだ」

 包帯が巻かれた右手をひらひらさせて、光太郎さんが言った。

「そっか!」

「もう大丈夫だっつーのな。煩わしくてしょうがない」

 これでひと安心、ってところかな。


「取ったっていいだろ、この包帯よー邪魔くさいー」

「もう病院行かなくても大丈夫だって」

 という数々の暴れん坊発言をなだめていたんだけど、子供かっつーの……もう。ちゃんと治療しないと治るものも治らない。仕方のないひとだ。

 つき合うようになって分かったことだけれど、わがままで子供っぽいところがある。それってきっとあたしにもある。でも、そんなところも好きだなぁって思える。

「まぁまぁ……でも良かった。これで完全体の光太郎さんだね」

「なんだそれ」

「だって故障してたわけだから。完全なる光太郎さんじゃないじゃん」

「バイクみたいに言うな」

 光太郎さんは自分で茶碗にご飯を盛り付け、箸を持ってソファに座った。他のおかずはもうスタンバってる。

 少しでも朝ご飯を食べてから仕事に行って欲しい。やっぱり1日の始まりだから。朝ご飯って大事だと思うんだよね。

 力説してもいつも涼しい顔して流されるんだけれど。朝ご飯抜きの生活をしていた彼も、だんだん食べてくれるようになった。



「ご飯ちゃんと食べてたから怪我の治りも早いってこと」

「治癒能力高いから、俺」

 炊き立てのご飯を頬張りながら、そう言う。はいはい、そうですね。

「次の休み、どっか出かけるかぁ」

「そうだねー。天気良いみたいだから」

 昨夜の週間予報では「この天気は続くでしょう」って言ってた。

 季節は秋。残暑が厳しいからまだまだ汗ばむけれど、確実に季節は進んでいる。寒くなったら外に出なくなりそうだから、いまのうちに遊んでおかなくちゃ。秋が来ればあとは冬将軍がやって来る。


「寒くなる前に、乗らないと」

「バイク? ツーリングでも行くの?」

 ふたりで出かける時はたいてい車。まぁ荷物も詰めるし、結局は便利なんだよね。

「いや、せっかくだから真白と」

「あたし?」

「手、包帯取れるし。バイクで出かけようぜ」

「え! じゃあレンタル探さなくちゃ!」