天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~

 プリンセスなんて呼ばれるくらいだから毎年のモデルは当然、若い女性が好まれる。
 今年、新しく入社した女性社員は詩織ちゃんと私のふたりだけ。
 つまり二者択一。私はあっけなく落とされたわけだ。
 専務以下、全員一致の推挙か。誰ひとりとして私を推す人はいなかったってことね。

 地味に効くなぁ、この事実。腹に数発食らったジャブみたい。
 まぁ、こんなことはたいしたことないけどね。慣れっこだしぜんぜん平気。
 本当に平気なんだからだいじょうぶ。大丈夫……。

 私は、自分が姉みたいに絶世の美女だなんて思っていない。
 他人様に夢や憧れを与えられるような、詩織ちゃんみたいな器量の持ち主だとも思っていない。
 この世に生まれた時からもうずっと、身の程はわきまえている。
 だからこその、この外せない鉄仮面なんだから。

 でも、そのトラウマになって外せなくなってしまった鉄仮面をつけてすらの、この現状。
 晃さんと交わした会話で、こんな自分を少しでも肯定できるような気がしていたけれど……。