天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~

「聡美さんを見てると、なんだか遊色効果を見ているみたいだ」
「え?」

 わ、私が遊色効果!?
 晃さんがオーロラみたいに美しいって絶賛している遊色効果と、私が似ている?
 それは褒め言葉なの? 私に対する好意的な表現ってこと?
 少なくとも貶されてはいないと受け取って構わないわよね? 大丈夫よね?
 なにしろ今までの経験が苛烈すぎたから、男性からの言葉の裏を反射的に探ろうとするクセがついてしまっている。
 警察犬のようなこの嗅覚が、甘い言葉に対して多大な警戒心を発揮するんだ。
 だから簡単には額面通りに受け取れないし、飛びつけない。
 そんな心理を読まれないように、無表情にクンクン匂いを嗅いで警戒している私を、晃さんは見抜くように言った。

「聡美さん、いま俺に対してちょっと警戒してるでしょ?」
「えっ?」
「コイツ、甘いセリフ吐いてるって思ってない?」

 せ、正確にはちょっと違うけど、ほぼ正解!
 なんでバレちゃったのぉ!?