天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ～宝石王子とあたしの秘密～

　加工品とは、自然の物に無理やりに手を加えて作り上げる物。
　なんだかね、聞くたびに身につまされるの。
　だって私が毎日、躍起になってしているメイクも似たようなものだもの。
　ありのままの自分の姿じゃだめだから、タレ目にしたり、マスカラ塗ったり、ファンデ重ね塗りしたりして、人工処理物を作り上げている。
　自然のままでも完璧に美しい姉を、横目でチラチラと眺めながら……。
　そう思うと、どうしても引け目っていうか、自分に惨めさを感じてしまう。
　こんなの邪道だよね？　作為だよね？　騙しだよね？　って。

「人工処理？　俺は有りだと思うよ」
「……へ?」

　あっさり肯定されてしまって逆に驚いた。
　宝石鑑定士なら『人工処理なんて言語道断！』って言うとばかり思ってたのに、有りなの？　なんで？
　晃さんは「ちょっと座らない？」と、近くのベンチに私を誘ってくれた。
　よほど私が疑問に満ちた顔をしていたのか、丁寧に説明してくれるつもりらしい。

「これは宝石を購入する上で、消費者にとってすごく重要な話だから良く聞いて」

　白い木製の可愛らしいふたり掛けのベンチに並んで座り、興味津々、晃さんを見上げた。