不屈かぁ。なんだか勇ましいな。
 自分の誕生石にそんな意味があると知って、ちょっと誇らしい気分になる。

「すごく格好いいですよね。ダイヤのモース硬度は10。自然界においてダイヤモンドは、何物にも傷つけられない」
「なにものにも……?」
「そう。世界中の人々憧れの宝石ですよ」

 ダイヤモンドは傷つかない。
 それは、引っかき傷なんかに対しては、間違いなくそうなんだけれど……。

「それじゃあ聡美さん、これで失礼します。貴重なお時間をとらせてしまってすみませんでした」
「あ、いえ、こちらこそ! 今日はありがとうございました。……晃さん」

 つい近藤さんと呼びそうになってしまって、口ごもる。 
 そんな私のバツの悪い顔を見て、彼は楽しそうに声を上げて笑った。

「それではまた月曜日に」
「はい。また月曜日に」

 お互いに会釈をして、晃さんは会議室から出ていく。
 その後ろ姿を見送りながら、私の心に色々な思いが浮かび上がった。
 貴石と半貴石。晃さんって真面目でいい人だな。
 傷つかないダイヤモンド。そして……。
 お姉ちゃんと、私……。