真っ白な頭に血がのぼり、心臓が暴れ狂い、血圧と体温が上昇する。
どうすればいいの? ねぇ、どうすればいいの!?
わ……私、これから生まれて初めてのキスを……。
「……!」
そのとき、私の全身が恐怖に震えた。
大量の冷水を一気にぶちまけられたような気がして、夢から現実に返った。
すぐそばの街灯が辺りを照らしているせいで、今まで薄暗がりでよく見えなかったものが見えるようになっている。
つまり私の……メイクの崩れた、この顔が!
「嫌あぁーーっ!」
悲鳴を上げながら思い切り晃さんの顔を手で押し退けた。
彼がよろけたすきに無我夢中で駆け出し、必死で逃げ出した。
見られた! きっと見られてしまった!
私の汚く崩れた鉄仮面の下の素顔を、晃さんに見られてしまった!
「聡美さん! 待って!」
彼の声が追いかけてくる。それは恐怖以外のなにものでもなかった。
逃げたい! 一歩でも遠くへ逃げ去りたい!
晃さんに、この顔を見られなくても済む場所まで!
道路沿いにタクシーのライトが近づいて来るのが見えて、夢中で手をあげた。
そして開いたドアの中に飛び込んだ。
「走って! 早く!」
叫びながら両手で顔を覆い隠した。
指の隙間の視界の端に、こちらへ駆けてくる晃さんの姿が見えたけれど、タクシーが間一髪で走り出してくれた。
どうすればいいの? ねぇ、どうすればいいの!?
わ……私、これから生まれて初めてのキスを……。
「……!」
そのとき、私の全身が恐怖に震えた。
大量の冷水を一気にぶちまけられたような気がして、夢から現実に返った。
すぐそばの街灯が辺りを照らしているせいで、今まで薄暗がりでよく見えなかったものが見えるようになっている。
つまり私の……メイクの崩れた、この顔が!
「嫌あぁーーっ!」
悲鳴を上げながら思い切り晃さんの顔を手で押し退けた。
彼がよろけたすきに無我夢中で駆け出し、必死で逃げ出した。
見られた! きっと見られてしまった!
私の汚く崩れた鉄仮面の下の素顔を、晃さんに見られてしまった!
「聡美さん! 待って!」
彼の声が追いかけてくる。それは恐怖以外のなにものでもなかった。
逃げたい! 一歩でも遠くへ逃げ去りたい!
晃さんに、この顔を見られなくても済む場所まで!
道路沿いにタクシーのライトが近づいて来るのが見えて、夢中で手をあげた。
そして開いたドアの中に飛び込んだ。
「走って! 早く!」
叫びながら両手で顔を覆い隠した。
指の隙間の視界の端に、こちらへ駆けてくる晃さんの姿が見えたけれど、タクシーが間一髪で走り出してくれた。



