「…っ…ゔぅ…
私は…私が呪いたかった人は…
あんな人たちじゃない…
何もしていないのに、ただちょっと恨みを持たれただけなのに…
なぜあんなことを…しなければならない…」
息も絶え絶えという感じで女は続ける。
「なんで…こんなことをした…
単に利用したかっただけじゃないか…
私は…生きていられるとしても…
お前に何のメリットがある…
なんで私を生かし、人々を苦しませる…」
「お前がこの世に必要だからだ。
黙って仕事しろ」
ドア越しでも伝わる苦しそうな麗薇。
それに対して男は冷たくそう返すと、明らかにこちらに向かってくる足音がする。
どうする、と身を硬直させ、思わず麗奈の手を握る。
しかし麗奈は、全く焦っている様子はない。
むしろ冷静にドアの方をじっと見つめている。
声を出すこともできず、ただ俺の手足は震え、ドワッといたるところから汗が吹き出す。
静かにドアは開けられ、男のものと思われる足が片方見えた。

