フラフラと自己規制のきかない体を無理やり動かす。

「そんなにびびってるようじゃ、これからのことは無理ですかね」

女はあいかわらず奇妙な仮面を外さない。

ただ、考えるように指先でテーブルをコンコンと打つ。

途端に、俺は何を思ったか、ペットボトルの蓋を開け、お茶をがぶ飲みした。

そして、

「やっぱ、呪いなんですか!?」

不完全な日本語を発する。

それが、俺にできる精一杯のことだった。

女は、楽しむように

「えぇ」

とだけ答える。

「ただし、契約内容の明記が先。
契約完了後、約束事の説明になります」

雄介も言っていた、約束事。

「約束事って…なんです?」

少し落ち着いてきて、まともに喋ることもできるようになった。