「昨日さ」

靴を履きながら岩崎に話しかける。

「呪い屋のとこ行けって雄介に言われて」

床でトントン、と履き心地を整える。

「えっ…行ったの?」

教科書を取り出す手を止めて、不安そうに聞いてくる。

「いや…
行こうと思ったんだけどさ。
道、よくわかんなくなっちゃってやめたんだよね」

岩崎にも、嘘をつく。

でも…

まさか本当のことを言って、あの呪い屋の女の言う通り、呪い返しが…なんてことになったら、大変なことになる。

「そっかぁ…
そういうのさ、行かない方がいいよ。
呪い屋がどうとかじゃなくて、実はヤクザ絡みとかだったら大変じゃない?」

困ったように頭を掻く岩崎。