「いいじゃない。
騙すも何も、そもそも最初から憎しみ合ってたでしょう?」

その麗奈の言葉に、ふつふつと怒りがこみ上げる。

「なんだよそれ!
あの時泣いてたのは麗薇のためじゃなかったのかよ!」

つかつかと鼻息荒く麗奈の方に歩いていって、ひっぱたこうとする。

しかし、

「なによ!
誰のせいだと思ってるのよ!
あんたのせいで…
あんたのせいで、何も信じられなくなったんじゃん…」

そんな弱々しい声で、勢いをなくしてしまった。

まだ謎は残っている。

でも、あれか。

ようは、いろんな奴らのいろんな想いが混じり合って、こんな複雑なことになってしまったのか。

俺のせいだけじゃなくて。

麗薇のせいでもあって。

麗奈のせいでもあって。

雄介のせいでもあって。

…黒田のせいでも、あるのか。

全ての事の始まりは、黒田のせいか。